保育園を変わることになった。園が変われば保育料も変わるのだろうか、と考えて園に聞くと「役所に聞いてください」と言われる。役所に聞くと「階層は変わりません」と言われて、それで納得してしまう。
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先に結論を書きます。認可保育園の保育料は園ではなく、自治体と世帯の所得で決まります。そのため同じ市区町村内の転園では保育料は動きません。動くのは市区町村をまたいだときで、階層表そのものが別のものに変わります。
そして転園でお金の面がいちばん動くのは保育料の階層ではなく、月をまたぐときの二重払いと、認定の切れ目です。
(2026年8月時点の情報です。運用は市区町村ごとに大きく異なるため、実際の適用は転園元・転園先それぞれの自治体の案内が基準になります。)
保育料を決めているのは園ではない
認可保育園の保育料は、市区町村が定めた階層表に、世帯の市町村民税所得割額を当てはめて決まります。園ごとに金額が違うということはありません。
同じ市内でA園からB園に移っても、世帯の所得は変わらないので階層も変わりません。「園を変えたら安くなるのでは」という発想は、認可保育園については成り立たない仕組みになっています。
同じ市内でも動くものはある
階層は動きませんが、次の3つは動きます。
- 年齢区分:0〜2歳児クラスと3歳児クラス以上で扱いが変わる。3歳児クラス以上は無償化の対象で、代わりに副食費が発生する
- 保育標準時間と保育短時間:認定区分が変わると階層表の中の列が変わる
- 園独自の実費:主食費、教材費、行事費、制服代、延長保育料は園ごとに設定されている
「転園したら毎月の支払いが増えた」という経験の多くは、階層ではなくこの3つ目によるものです。認定こども園では上乗せ徴収を行っている園もあります。
市区町村をまたぐと、階層表ごと変わる
引っ越しを伴う転園では、階層表が別の自治体のものに切り替わります。所得割額が同じでも、区分の刻み方と金額設定が違うため、保育料が上がることも下がることもあります。
自治体独自の軽減や無償化の上乗せがある場合、それも自治体ごとに変わります。この点は保育料が2人目なのに半額にならない6つの理由で、多子カウントの数え方と合わせて整理しています。
階層表は各自治体がウェブで公開しているので、転居先が決まった時点で自分の所得割額を当てはめれば、転園前に金額が確定します。手元の住民税決定通知書があれば、その日のうちに分かります。
月をまたぐとき、二重に払うことがある
ここが転園で最も金額が動く場所です。月途中の退園の扱いが、自治体によって正反対になっています。
- 日割りにしない自治体:月のうち1日でも在籍していれば1か月分の保育料がかかる。東京都中央区は「月の途中の退園でも1か月分。日割り計算はできません」と明記している
- 月末退園しか認めない自治体:豊島区は「各月末日付での退園となります。月の途中での退園はできません」としている
- 日割りにする自治体:川崎市は「転居等により月途中で退所する場合は、保育料は日割り計算となります」としている
前の園が日割りにしない自治体で、月の途中から新しい園に通い始めると、同じ月に2つの園の保育料がかかります。金額としては数万円の差になります。
この差は転園日を月初にするか月末にするかで動かせる場合があります。転園元と転園先の両方の扱いを先に確認しておくと、日付を決める材料になります。
ここまでが、転園で動くお金の全体像になります。階層・実費・月またぎの3つを足すと、転園の前後で数万円の幅が出ます。この差を毎月のどこで吸収するかは、保険料や通信費まで含めて並べ直さないと決まりません。保険マンモスの無料相談で家計全体の見直しを予約する →
保育料より危ないのは、認定の切れ目
市区町村をまたぐ場合、教育・保育給付認定は転出した月の月末で終了します。転出先の自治体で改めて認定を受ける必要があり、この手続きをしないと園に通えなくなります。
相模原市は「市外転出後も市内の施設等の継続利用を希望する場合は、転出先の自治体を通して新たに利用申込みをしていただく必要があります。この手続が行われない場合、施設等を利用できなくなります」と明記しています。
保育料の高い安いより、まずここが通るかどうかの問題になります。期限も短く、中央区は「転出した日の前日の属する月の末日まで」に転出先自治体へ申し込むよう案内しています。
引っ越しても同じ園に通い続ける方法はある
市区町村をまたいで引っ越しても、元の園に通い続ける継続通園という扱いがあります。ただし期限があり、豊島区の場合は転出日が属する年度末までです。翌年4月以降も通うには、転入予定なしの入園申込みとして扱われ、選考ではその区の住民が優先されます。
つまり継続通園は「年度末までの猶予」であって、恒久的な解決ではありません。並行して転居先の園にも申し込んでおくのが、実務上の動き方になります。
転園前に確認する4点
- 転園先の自治体の階層表と、自分の所得割額(同じ市内なら不要)
- 転園元と転園先それぞれの、月途中退園の日割りの有無
- 新しい園の実費(主食費・教材費・行事費・延長保育料・上乗せ徴収)
- 認定の切替手続きの期限と、必要書類
1と3は金額の話、2は日付の話、4は通えるかどうかの話です。優先順位としては4が最も高くなります。
転園先が認可外になる場合は、保育料の階層ではなく給付の上限額で負担が決まります。詳しくは認可外保育園の無償化はいくら戻る?で説明しています。
まとめ
- 認可保育園の保育料は園ではなく自治体と世帯所得で決まるため、同じ市区町村内の転園では階層は動かない
- 同じ市内でも、年齢区分・認定区分・園独自の実費は変わる
- 市区町村をまたぐと階層表そのものが変わり、上がることも下がることもある
- 月途中退園の扱いは自治体で正反対。日割りにしない自治体では、月またぎで2園分かかる
- 市外転出で認定は月末に終了する。転出先で認定を受け直さないと通えなくなる
- 継続通園は使えるが、年度末までの猶予であることが多い
よくある質問
Q. 転園すれば保育料の安い園に移れますか
認可保育園については移れません。保育料は市区町村の階層表と世帯の所得割額で決まり、園ごとの設定はないためです。差が出るのは主食費や教材費などの実費部分と、認定こども園の上乗せ徴収です。
Q. 月の途中で転園すると、保育料は2つの園に払うことになりますか
自治体によります。月途中の退園を日割りにしない自治体では、前の園の1か月分と新しい園の分が同じ月に発生します。日割りにする自治体では在籍日数に応じた金額になります。転園元と転園先の両方に確認すると分かります。
Q. 引っ越しても今の園に通い続けられますか
継続通園という扱いが用意されている自治体があります。ただし転出先の自治体を通した新たな申込みが必要で、期限も設定されています。年度末までとしている自治体があり、翌年度以降は改めて選考を受けることになります。
Q. 転園の手続きをしないまま引っ越したらどうなりますか
教育・保育給付認定は転出した月の月末で終了するため、園に通えなくなります。相模原市は手続きが行われない場合に施設等を利用できなくなると明記しています。保育料の確認よりも先に、この手続きの期限を押さえることになります。

