パートを2社掛け持ちしている人は、2026年10月に何が変わるか|週20時間は合算されないが、130万円は合算される

パートを2社掛け持ちしている人は、2026年10月に何が変わるか ライフプラン

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パートを2社掛け持ちしていると、2026年10月の社会保険の改正で「合わせて週30時間だから、社会保険に入らされるのでは」と心配になります。結論から書くと、それは起きません。労働時間は勤務先ごとに見るからです。

ただし安心してよい話ではありません。掛け持ちには、どちらの勤務先でも社会保険に入れないのに、扶養からは外れるという区間があります。そしてこの区間は、10月の改正ではほとんど動きません。

社会保険の週20時間は、勤務先ごとに数える

健康保険と厚生年金は、事業所単位で適用されます。人単位ではありません。日本年金機構も「厚生年金保険は、事業所単位で適用されます」と明記しています。

つまり、A社で週12時間、B社で週14時間働いている場合、判定はA社で12時間、B社で14時間として別々に行われます。合計の26時間で見ることはありません。どちらも週20時間に届かないので、どちらの勤務先でも社会保険の加入対象にはなりません。

掛け持ちしていることを勤務先に知られたら加入させられるのでは、という心配もよく聞きますが、加入の判定に他社の労働時間は入りません。

一方で、扶養の130万円は2社の合計で見る

ここがねじれます。健康保険の被扶養者でいられるかどうかは、勤務先ごとではなく本人の収入全体で判定されます。A社の年収とB社の年収を足した額が基準になります。

基準額は年間収入130万円未満です。認定される人が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者であれば180万円未満、19歳以上23歳未満で配偶者以外であれば150万円未満になります。あわせて、同居なら被保険者の年間収入の2分の1未満であることも要件です。

年間収入は本来、今後1年間の見込みで判定します。ただし特例があり、労働契約で定められた賃金から見込まれる額が基準額未満で、他の収入が見込まれない場合には、原則として被扶養者と認定されます。掛け持ちの場合、2枚の労働条件通知書に書かれた内容がその判断材料になります。

結果として、掛け持ちには「どこにも入れないのに外れる」区間がある

整理すると、次の形が成立します。

項目 A社 B社 判定
週の所定労働時間 12時間 14時間 どちらも20時間未満。社会保険に加入できない
年収(時給1,100円) 約68万円 約80万円 合計約148万円。扶養からは外れる

この人は、勤務先の社会保険にも入れず、配偶者の扶養にも入れません。国民年金と国民健康保険を自分で払うことになります。

国民年金の保険料は2026年度で月額17,920円、年間に直すと215,040円です。国民健康保険料はこれとは別で、自治体と所得によって変わります。会社員が保険料を労使で折半するのに対して、この区間では全額が自己負担です。

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週の所定労働時間を自分の側で指定して契約できる仕事を選択肢に入れておくと、あとから配分を動かしやすくなります。

2026年10月の改正は、掛け持ちの人にはあまり効かない

2026年10月1日から、短時間労働者の社会保険の加入判定から月額8.8万円という賃金要件がなくなります。2025年6月に公布された年金制度改正法によるものです。

「106万円の壁がなくなる」と報じられているのはこの部分です。ただし、なくなるのは賃金の要件だけで、週の所定労働時間20時間以上という要件は残ります。勤務先の厚生年金の被保険者が51人以上であることという企業規模の要件も、2027年9月までは残ります。

上の例のように両方の勤務先が週20時間未満なら、賃金要件が消えても加入対象にはなりません。10月を待っても、この区間からは自動的には出られないということです。

片方を週20時間に寄せると、負担はこう変わる

この区間から出る方法は、片方の勤務先で週20時間以上の契約にすることです。年収の合計を変えなくても、配分を変えるだけで結果が変わります。

たとえばA社を週6時間に減らし、B社を週20時間に増やしたとします。B社の月収はおよそ95,000円になり、標準報酬月額は98,000円の等級に入ります。

項目 自分で払う場合 B社で加入した場合
年金 国民年金 月17,920円 厚生年金 月およそ9,000円(保険料率18.3%を労使折半)
医療 国民健康保険(全額自己負担) 健康保険(労使折半)
将来の年金 基礎年金のみ 基礎年金に厚生年金が上乗せ

本人の負担が下がったうえに、受け取る年金が増えます。傷病手当金や出産手当金の対象にもなります。掛け持ちで年収が130万円を超える見込みがあるなら、時間を減らして扶養に戻る以外に、片方に寄せて加入するという選択肢が現実的です。

賃金要件の撤廃が効いてくるのはここです。時給が低い地域や、週20時間ちょうどで月8.8万円に届かない契約でも、10月からは加入できるようになります。

両方で加入対象になったら、届け出るのは会社ではなく本人

両方の勤務先で週20時間以上になり、どちらでも被保険者になった場合は、追加の手続きがあります。

「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を、本人が事実発生から10日以内に日本年金機構へ提出します。会社がやってくれる手続きではありません。ここを知らずに放置している人がいます。

この届出で主たる事業所を選び、両方の報酬月額を合算した額で標準報酬月額が決まります。保険料は、それぞれの勤務先の報酬に応じて按分されます。二重に払うことにはなりません。

10月までに確認しておく3点

ひとつ目は、それぞれの労働条件通知書に書かれた週の所定労働時間です。実際に働いている時間ではなく、契約に書かれた時間で判定されます。20時間の前後にいるなら、そこが分かれ目です。

ふたつ目は、勤務先の厚生年金の被保険者数が51人以上かどうかです。50人以下の勤務先では、2026年10月の時点では何も起きません。

3つ目は、2社の年収見込みの合計です。130万円に届くかどうかで、扶養に残るか、片方に寄せて加入するかの判断が変わります。年内の見込みは、10月以降の最低賃金の改定でも動きます。

片方の勤務先で時間を減らす場合も、判定に使われるのは契約上の所定労働時間です。シフトだけを減らしても判定は変わらず、契約を変えるには会社の合意が必要になります。その手順はシフトを減らしても社会保険は避けられないに書きました。

よくある質問

Q. 2社合わせて週20時間を超えていますが、社会保険に加入させられますか

加入対象にはなりません。健康保険と厚生年金は事業所単位で適用され、週の所定労働時間は勤務先ごとに判定されます。他社の労働時間は合算されません。

Q. 掛け持ちしていることを、勤務先に伝える必要はありますか

社会保険の加入判定には他社の労働時間が関係しないため、判定のために伝える必要はありません。ただし両方の勤務先で被保険者になった場合は、本人が二以上事業所勤務届を提出することになり、そこで両方の勤務先が分かる形になります。

Q. どちらでも社会保険に入れず、扶養からも外れました。何に加入しますか

国民年金と国民健康保険に自分で加入します。国民年金の保険料は2026年度で月額17,920円です。国民健康保険料は自治体と所得によって変わります。

Q. 2026年10月から、掛け持ちの判定方法は変わりますか

変わりません。10月に撤廃されるのは月額8.8万円という賃金の要件で、事業所単位で判定するという枠組みと、週20時間以上という要件は残ります。

Q. 両方の勤務先で加入すると、保険料を二重に払うことになりますか

なりません。二以上事業所勤務届を出すと、両方の報酬月額を合算した額で標準報酬月額が決まり、保険料はそれぞれの勤務先の報酬に応じて按分されます。

まとめ

社会保険の週20時間は勤務先ごと、扶養の130万円は本人の合計。この2つの数え方の違いが、掛け持ちの人だけに「どちらでも入れないのに扶養から外れる」区間を作っています。

2026年10月の改正はこの区間を動かしません。動かせるのは自分の側の配分です。年収の合計が130万円に届く見込みなら、時間を減らして扶養に戻るか、片方を週20時間以上に寄せて加入するか、どちらかを10月までに決めておくことになります。

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出典

本記事は情報提供を目的としたものであり、個別の税務・社会保険の判断は税理士・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。

大手企業の人事として、給与計算・社会保険・人事システムの導入を担当してきました。標準報酬月額や扶養、育児休業の給付など、家計に直結する制度を運用する側から見てきた立場です。家庭では未就学児2人を育てる共働き世帯で、保育料や教育費は自分ごととして計算しています。制度の話は自治体の要綱や省庁の一次情報にあたり、金額は自分の家計で確かめた範囲で書いています。

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