手続きをした覚えがないのに、9月分の保育料だけ金額が違う。認可保育園に子どもを預けている家庭で、毎年この時期に起きます。
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先に結論を書きます。保育料は世帯の市町村民税所得割額で決まり、4〜8月分は前年度、9月〜翌年3月分は当年度の税額を使います。9月に基準となる年が1年進むため、収入が増えた年の翌年9月に反映されます。多くの場合、制度が変わったのでも申告を誤ったのでもなく、参照する税額が切り替わっただけです。
(2026年8月時点の情報です。階層区分と金額は市区町村ごとに異なるため、実際の適用はお住まいの自治体の決定通知が基準になります。)
使うのは父母の所得割額を合算した金額で、年収そのものではありません。同じ世帯年収でも、控除の状況が違えば階層は変わります。
4〜8月と9月で、見ている年が1年ずれる
住民税の税額が確定するのは毎年6月ごろです。年度が始まる4月の時点では、その年度の税額がまだ出ていません。そのため年度の前半は前年度の税額をそのまま使い、確定を待って9月に切り替えます。
| 保育料の期間 | 使う住民税 | もとになる収入 |
|---|---|---|
| 4月〜8月分 | 前年度(2025年度)の所得割額 | 2024年の収入 |
| 9月〜翌年3月分 | 当年度(2026年度)の所得割額 | 2025年の収入 |
2026年度の場合です。出典:大津市保育所等保育料について。同じ扱いは他の自治体の案内にも共通しています。
つまり9月に上がったなら、2025年の収入が2024年より増えていたということです。昇給、残業時間の増加、賞与の伸び、育休からの復帰、配偶者の勤務時間の変更。どれか一つでも当てはまれば、階層が動くことがあります。
育休から復帰した世帯は、2年遅れで跳ねる
育休中は給与が止まり、育児休業給付金には所得税も住民税もかかりません。その年の所得が下がると、翌年度の住民税が下がり、その税額を使う保育料まで下がります。ここまでに1年以上の時間差があります。
| 年 | 世帯で起きたこと | 影響が出る保育料の期間 |
|---|---|---|
| 2024年 | 育休で所得が下がる | 2025年9月〜2026年8月分 |
| 2025年 | 復帰して所得が戻る | 2026年9月〜2027年8月分 |
2024年に育休を取り、2025年に復帰した世帯を例にしています。安かった期間は12か月続き、その終わりが2026年8月です。9月の値上がり幅が大きくなりやすいのは、この形の世帯です。復帰から1年半近く経ってから来るため、原因が思い当たらなくなります。
時短勤務から通常勤務に戻した年も同じ動きをします。戻した年の収入が反映されるのは、その翌年の9月です。
なお、育休に入っている最中は保育料そのものより先に、認定区分の切り替えで支出が動きます。上の子の認定が保育短時間になり、超えた分の延長保育料が新しく発生する仕組みは育休中は上の子の保育が「短時間」に変わる|保育料は下がるのに延長料金が出る仕組みで扱っています。
節税しても、保育料に効くものと効かないものがある
保育料の算定に使う所得割額では、適用しない控除が決められています。住民税そのものは減っても、保育料の計算では減らない控除があるということです。
| 制度 | 住民税の額 | 保育料の算定 |
|---|---|---|
| ふるさと納税(寄附金税額控除) | 減る | 効かない |
| 住宅ローン控除 | 減る | 効かない |
| 配当控除・外国税額控除 | 減る | 効かない |
| iDeCo(小規模企業共済等掛金控除) | 減る | 効く |
| 社会保険料控除・扶養控除など | 減る | 効く |
ふるさと納税そのものは保育料の算定に影響しませんが、寄附できる上限額のほうは共働きの組み合わせで動きます。夫婦それぞれの枠をどう使うかはふるさと納税は夫婦それぞれできる?共働きの上限額と年収別の早見表にまとめています。
出典:墨田区認可保育施設の保育料の決定と支払いについて。同趣旨の記載は多くの自治体の案内にあります。
分かれ目は、税額から直接引く控除か、課税所得を減らす控除かです。税額控除は保育料に効かず、所得控除は効きます。ふるさと納税で住民税が数万円減っても、保育料の階層は動きません。返礼品の分は得ですが、保育料を下げる手段にはならないという整理になります。
iDeCoの掛金は全額が所得控除になるため、課税所得が下がり、所得割額も下がります。階層の境目に近い世帯では、区分が一つ変わることもあります。ただし掛金は原則60歳まで引き出せません。保育料を目的に金額を決める性質のものではなく、老後資金として払い続けられる範囲かどうかが先に来ます。
NISAには所得控除がないため、この計算には影響しません。所得控除を取りにいくか、いつでも引き出せる形を優先するかは、世帯の状況で答えが変わります。順番の考え方はつみたてNISAとiDeCoはどっちを優先?併用の順番と選び方で整理しています。
上がった分を年額に直すと、見え方が変わる
階層が一つ動いたときの差額は自治体の区分によりますが、月あたり数千円の幅に収まることが多くなっています。月3,000円なら年36,000円、月5,000円なら年60,000円です。毎月の引き落としでは気づきにくい額でも、年額に直すと他の教育費と同じ物差しで比べられます。
認可保育園で保育料の負担が続くのは0〜2歳児クラスの期間で、3歳児クラスに上がれば利用料は無償になります。終わりの時期が最初から決まっている支出です。恒久的に固定費が増えたわけではないため、家計のどこを削るかを決めるときは、期限つきの支出として扱えます。
影響が大きくなるのは、同じ時期に別の支出が重なる場合です。習い事の開始、下の子の入園、住宅ローンの返済開始が並ぶ年があります。削る順番の考え方は子育て世帯の固定費、削る順番にまとめています。
月あたり数千円でも、年額にすると他の固定費と同じ大きさになります。上がった分を吸収する先は保育料そのものではなく、保険料や通信費のように毎月出ていく別の費目にしか作れません。保険マンモスの無料相談で家計全体の見直しを予約する →
金額の根拠がどこに書かれているか
その年度の保育料は、自治体から届く利用者負担額決定通知書に階層区分とあわせて記載されています。9月に金額が変わる場合は、切替の案内が別に届く自治体が多くなっています。
もとになった所得割額は、6月ごろに勤務先から配られる住民税の決定通知書で確認できます。給与から住民税が引かれている場合、その通知書に所得割額が載っています。ただし保育料の階層判定では、前述の税額控除を差し戻した数字を使うため、通知書の額と階層表が一致しないことがあります。
自治体が独自の軽減制度を9月から始める年もあり、その場合は逆に下がります。金額が動いた理由が税額の切替なのか制度の変更なのかは、自治体から届く案内で見分けられます。
世帯の状況が変わった場合は、届出によって再計算される仕組みがあります。同居の開始や解消、離婚、転出入がこれにあたります。窓口は市区町村の保育担当課です。
自分の階層を自分で突き合わせる3ステップ
自治体の階層表は公開されているので、通知が届く前でも見当をつけられます。ただし住民税の通知に載っている数字をそのまま当てはめると合いません。手順は3つです。
1. 住民税の決定通知書で所得割額を見る
給与から住民税が引かれている場合、6月ごろに勤務先から住民税の決定通知書が配られます。ここに市町村民税の所得割額が載っています。夫婦それぞれの通知書が必要で、判定に使うのは2人分を合算した金額です。
2. 税額控除を差し戻す
住宅ローン控除やふるさと納税を使っている場合、通知書の所得割額は控除後の数字になっています。保育料の判定ではこれらを適用しないため、控除前の額に戻したうえで階層表と比べます。通知書には控除額が別欄に記載されているのが一般的です。
3. 自治体の階層表と突き合わせる
市区町村のサイトに、階層区分と保育料の一覧が掲載されています。0歳児クラスと1〜2歳児クラスで金額が分かれている自治体、保育標準時間と保育短時間で分かれている自治体があるため、自分の認定区分の行を見る必要があります。
階層の境目まで数千円という位置にいる年は、所得控除を1つ増やすかどうかで区分が変わる可能性があります。境目から離れている年は、何をしても同じ階層のままです。先に自分がどのあたりにいるかを見てから、控除を動かす意味があるかを判断できます。
3歳児クラスへの切り替わりがいつ来るかは、生まれ月で最大11か月変わります。保育料の無償化は3歳の誕生日からではないで、待つ期間と金額を整理しています。
認可外や企業主導型では計算のしかたが違う
ここまでは認可保育園と認定こども園、地域型保育事業の話です。認可外保育施設は施設が独自に料金を設定しているため、住民税の所得割額で階層が決まる仕組みではありません。9月に一斉に変わるということも起きません。
認可外を利用している世帯には、無償化の一部が償還払いという形で適用される場合があります。対象になるかどうかは保育の必要性の認定を受けているかで変わり、手続きも自治体ごとに違います。企業主導型保育事業はさらに別の枠組みで、利用料の減額が年齢に応じて行われます。
収入が下がったときに年度の途中で保育料が動くのかは、収入が下がっても保育料はすぐ下がらないで整理しています。
3歳児クラスに上がる年は、別の理由でも変わる
子どもの年齢は4月1日時点の満年齢で判定し、年度の途中で誕生日が来てもその年度の区分は動きません。年度の途中で動くのは税額のほうだけで、ここが9月の変更を分かりにくくしています。
3〜5歳児クラスは幼児教育・保育の無償化により利用料が無償です。0〜2歳児クラスは住民税非課税世帯が無償の対象で、それ以外の世帯は所得階層に応じた負担が続きます。9月の切替が金額に効いてくるのは、主に0〜2歳児クラスに子どもがいる期間です。
出典:こども家庭庁幼児教育・保育の無償化概要。自治体が独自に対象を広げている地域もあります。
きょうだいがいる世帯の軽減は、9月の切替とは別の仕組みで動きます。半額になるはずが安くならない場合、原因は所得ではなく数え方にあることが多くなります。詳しくは保育料が2人目なのに半額にならない6つの理由にまとめています。
よくある質問
Q. 9月に上がった分は、4月にさかのぼって請求されますか?
通常は9月分からの適用で、4〜8月分にさかのぼることはありません。ただし世帯状況の変更や申告内容の修正があった場合は、事実の発生した月まで戻して決定し直される仕組みを持つ自治体があります。
Q. ふるさと納税をすると保育料は上がりますか?
上がりも下がりもしません。保育料の算定では寄附金税額控除を適用しないため、寄附の有無で所得割額は変わらない扱いになります。
Q. 年の途中で転職して収入が下がりました。保育料はすぐ下がりますか?
その年度中は下がりません。基準になるのは前年の収入なので、下がった収入が反映されるのは翌年の9月分からです。
Q. 夫婦のどちらか一方の所得だけで決まりますか?
父母それぞれの所得割額を合算した金額で判定します。片方が育休や時短で下がっても、もう一方が上がっていれば合算では増えることがあります。
同じ9月の切替は副食費の免除判定にも効きます。免除の基準額は保育料の階層とは別に決まっているため、副食費の免除は年収では決まらないで2本の線を分けて説明しています。
下がる方向の話もあります。社会保険に加入した場合に所得割額がどう動くかは10月に社会保険へ入ると、翌年の保育料は下がるのかで整理しています。
まとめ
9月に保育料が変わるのは、参照する住民税が前年度から当年度に切り替わるためです。4〜8月分は2年前、9月からは1年前の収入が基準になります。上がったという事実は、前年に世帯の所得が増えていたことを示しています。
節税で下げる方向に効く余地があるのは、所得控除の部分です。ふるさと納税や住宅ローン控除は住民税を減らしますが、保育料の算定では差し戻して計算されます。この違いを知らないまま節税額と保育料を並べると、計算が合わなくなります。

