授業料が無償になると聞いて、高校でかかるお金が大きく減ると考えていた。ところが実際に進学した家庭からは、思ったほど楽になっていないという声が出てきます。
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先に結論を書きます。2026年4月から所得制限が撤廃され、授業料の支援は全世帯に広がりました。ただし就学支援金の対象は、授業料だけです。文部科学省の調査では、公立高校でかかるお金のうち授業料が占める割合は1割に届きません。残りの年約55万円は、制度が変わっても動かない部分です。
(制度の内容は2026年8月時点の情報です。実際の適用は、在学する学校と都道府県の最新の案内が基準になります。)
高校でかかるお金のうち、授業料はどのくらいか
| 1年間・子ども1人あたり | 公立高校 | 私立高校 |
|---|---|---|
| 学習費総額 | 596,954円 | 1,179,261円 |
| うち授業料 | 45,272円 | 279,170円 |
| 授業料が占める割合 | 7.6% | 23.7% |
| 授業料以外 | 551,682円 | 900,091円 |
出典:文部科学省令和5年度子供の学習費調査(全日制)。学習費総額は、学校に払うお金と塾などの学校外の費用を合わせた金額です。
この調査は令和5年度、つまり所得制限があった旧制度のもとで集計されています。2026年度は授業料の負担がこれよりさらに小さくなります。逆に言えば、授業料以外の欄の金額は、制度改正の影響をほとんど受けません。無償化のニュースを見て家計がどれだけ楽になるかを考えるとき、見るべきなのはこの行です。
授業料を引いても残る費用
授業料以外の内訳は、学校に払うお金と、学校の外で使うお金の2つに分かれます。どちらも就学支援金の対象ではありません。金額の大きい順に見ていきます。
公立でいちばん大きいのは通学関係費
公立高校の学校教育費は年351,523円です。その内訳で最も大きいのは通学関係費の97,634円で、授業料45,272円の2.2倍にあたります。定期代と制服がここに入ります。次いで図書・学用品等が62,284円、部活動などの教科外活動費が49,499円、修学旅行費等が36,500円と続きます。
通学関係費は住んでいる場所と進学先の組み合わせで決まるため、志望校を選ぶ段階で金額の見当がつきます。制服は入学時にまとまって出ていく一方、定期代は3年間続きます。
私立は入学時のまとまった支出が重い
私立高校では、学校納付金等が127,346円、入学金等が80,290円です。施設設備費のように授業料と別建てで請求されるものは、就学支援金の対象になりません。通学関係費も136,790円と公立より大きくなります。私立の学校教育費832,650円から授業料を引くと、553,480円がここに残ります。
塾や予備校は、最初から制度の外
学校の外で使うお金は、そもそも就学支援金の対象ではありません。公立高校の学校外活動費は年245,431円で、授業料の5.4倍です。私立でも346,611円かかっています。無償化で最も減らないのが、この部分になります。
大学受験を見据えると、学校外活動費は高校3年間で最も動く支出です。通塾を前提に置かず、通信教育と塾の見積もりを並べて比べると、同じ学習量でも年間の金額が変わります。【PR:Z会】Z会の通信教育の資料を請求する(無料・塾の見積もりと並べる用に)
2026年度に変わったこと
所得制限が撤廃された
2026年3月に改正法が成立し、4月から施行されています。世帯の所得にかかわらず、公立高校の授業料相当として年11万8,800円、私立高校では上限で年45万7,200円までが支援されます。よく見かける年収約910万円という基準は、旧制度のものです。制度の全体像は文部科学省の高校生等への修学支援にまとまっています。
お金は学校に渡る。家計に振り込まれるわけではない
就学支援金は学校が代わりに受け取り、授業料に充てられます。家庭の口座に入金される仕組みではありません。授業料が支援額を下回る学校でも、差額が現金で戻ることはありません。手取りが増える制度ではなく、請求される授業料が減る制度です。
申請しないと支給されない
支援は自動では始まりません。入学時の4月に、オンライン申請システムのe-Shienから受給資格の認定を申請する手続きが要ります。旧制度では所得制限に該当して申請していなかった家庭も、新たに申請の対象になっています。
見落とされやすい3つ
1. 私立で授業料が上限を超える場合
私立の支援は年45万7,200円が上限です。授業料がこれを超える学校では、超えた分が自己負担として残ります。学校ごとの授業料は募集要項に記載されています。
2. 入学前に出ていくお金は、支給を待てない
就学支援金の申請は入学後の4月です。一方で入学金の納付や制服の採寸・購入は、それより前に支払いが発生します。合格から入学までの数か月に出ていくお金は、支援の有無にかかわらず手元の現金で用意することになります。
3. 授業料以外を対象にした別の制度がある
住民税非課税世帯などを対象に、授業料以外の教育費を支援する高校生等奨学給付金という制度が別にあります。2026年度は対象の範囲が拡充されています。申請先は都道府県で、就学支援金とは手続きが分かれています。給付額と要件は都道府県の運用で分かれるため、在住する都道府県の案内が最終的な基準になります。制度の概要は文部科学省の高校生等奨学給付金のページにあります。
浮いた分をどこに置くか
旧制度でも、年収約910万円未満の世帯は既に授業料の支援を受けていました。今回あらたに浮くのは、所得制限で対象外だった世帯の授業料と、私立の加算が広がった分です。金額を月あたりに均すと、公立で約9,900円、私立の上限まで支援される場合で約38,000円になります。
この幅の金額は、生活費に混ざると残りません。高校の3年間は、大学の入学金と初年度納付金を用意する最後の期間でもあります。子ども一人の教育費は総額いくらかと教育資金をいつから貯めるかで、大学までを通した金額を確認できます。
まとめ
- 2026年4月から所得制限は撤廃。公立は年11万8,800円、私立は上限45万7,200円
- 支援の対象は授業料のみ。公立では学習費総額の7.6%にあたる
- 授業料以外に、公立で年約55万円、私立で年約90万円が残る
- 最も減らないのは塾などの学校外活動費で、公立では授業料の5.4倍
- 申請しないと支給されない。入学前に出ていくお金は支援を待てない
よくある質問
Q. 2026年度は、世帯年収が高くても高校の授業料は無償になりますか
所得制限は撤廃されているため、年収による対象外はなくなりました。公立で年11万8,800円、私立で上限45万7,200円までが支援されます。ただし支援を受けるには申請が必要です。
Q. 就学支援金は家庭の口座に振り込まれますか
学校が代わりに受け取り、授業料に充てる仕組みです。家庭に現金が入るものではなく、授業料が支援額を下回る場合も差額は戻りません。
Q. 制服代や修学旅行費は無償化の対象になりますか
就学支援金の対象は授業料に限られるため、制服代や修学旅行費は自己負担です。住民税非課税世帯などには、授業料以外を対象にした高校生等奨学給付金という別の制度があります。
Q. 私立高校の授業料が年60万円の場合、差額はどうなりますか
支援の上限は年45万7,200円のため、超えた分は自己負担として残ります。学校ごとの授業料は募集要項で確認できます。
Q. 共働きだと支援額は変わりますか
2026年度は所得による判定そのものがなくなったため、共働きかどうかで就学支援金の額は変わりません。世帯の所得を合算して判定していたのは旧制度です。

