保育園に落ちれば育児休業給付金は自動的に延びる、という前提は2025年4月に変わりました。入所保留通知書が手元にあっても、申込みの中身しだいで延長が認められないことがあります。認められなければ、給付率50%の6か月分がそのまま止まります。
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この記事は2026年8月時点の制度にもとづきます。人事として育休の申請と延長の書類を処理してきた側から、どこで落ちるのかを整理します。
2025年4月から、延長には3つの条件が要る
子が1歳(または1歳6か月)に達する日が2025年4月1日以後になる場合、延長には次の3つすべてが必要です。
- あらかじめ市区町村に保育利用の申込みを行っていること
- 速やかな職場復帰のために保育所等の利用を希望していると、公共職業安定所長が認めること
- 1歳に達する日の翌日の時点で、保育所等を利用できる見込みがないこと
2番目が新しく入った部分です。従来は入所保留通知書があれば足りていました。いまは申込みの内容そのものが審査対象になっています。判定するのはハローワークで、勤務先ではありません。会社が「大丈夫です」と言っても、それは判定ではありません。
認められないのは、この5つ
1. 申込みをしていない、または申込日が遅い
入所申込年月日が、子が1歳に達する日までの日付になっている必要があります。単に申込みを忘れていた場合は対象外です。
見落とされやすいのは次のケースです。市区町村に問い合わせたところ「入所は困難」と言われ、期限内に申し込まなかった。この場合、延長は認められません。断られたのではなく、申し込まなかったという扱いになります。
2. 入所希望日が1歳の誕生日より後になっている
原則として、子が1歳に達する日の翌日以前の日を入所希望日として申し込んでいる必要があります。4月入所に合わせて希望日を先に置くと、その時点で要件から外れます。市区町村の申込期限に間に合わなかった場合も同じです。
3. 片道30分以上の園しか申し込んでいない
申し込んだ保育所等が、合理的な理由なく自宅から片道30分以上かかる施設だけになっている場合は認められません。合理的な理由として認められるのは、次のいずれかです。
- 本人または配偶者の通勤経路の途中にある(勤務先から片道30分未満を含む)
- 自宅から30分未満で通える保育所等がそもそも無い
- 30分未満の園はすべて、開所時間や開所日が復職後の勤務に対応できない
- 子の疾病や障害で特別な配慮が必要であり、30分未満の園が申込み不可
- きょうだいが在籍している園を希望している、または30分未満の園が過去3年以内に行政指導等を受けていた
「人気園だけ書いた」「第三希望まで埋めなかった」といった話ではなく、距離が基準になっている点がこの要件の特徴です。
4. 申込書に延長を希望する旨を書いた
入所申込書に「保育所等への入所を希望していない」「速やかに職場復帰する意思がない」「選考結果にかかわらず育児休業の延長を希望する」といった記載があると、要件を満たしません。自治体側の欄に善意で書いた一文が、そのまま不認定の根拠になります。
5. 入所保留通知書の発行日が古い
提出する通知書は、発行年月日が「子が1歳に達する日の翌日の2か月前」以後である必要があります。4月入所の申込みの場合は3か月前です。半年前の保留通知書は使えません。
ただし、保留中は新たな通知を出さない市区町村もあります。その場合は、延長事由認定申告書の理由欄にその旨を書いたうえで、直近の入所保留通知書を使えます。条件は、1歳に達する日の翌日が保留の有効期限内にあることです。有効期限が切れている通知書は、発行日が新しくても確認書類になりません。
あわせて、やむを得ない理由なく内定を辞退している場合も要件を満たしません。やむを得ない理由とは、申込み時点と内定時点で住所や勤務場所が変わり、その園に通わせられなくなった場合を指します。
上の子がすでに保育園に通っている場合は、育休の期間中も別の支出が動きます。認定が保育短時間に切り替わり、超えた分の延長保育料が発生する形は育休中は上の子の保育が「短時間」に変わる|保育料は下がるのに延長料金が出る仕組みにまとめています。
収入が止まる期間を、どこまで見ておくか
ここまでの5つは、いずれも申込みの段階で決まります。裏を返すと、1歳の誕生日の数か月前には、延長できるかどうかの見通しが立つということです。そのうえで残るのが、延長が通らなかった場合の半年分をどう埋めるかという問題になります。
育休中は勤務先の団体保険や付加給付の扱いが変わっていることがあり、復職の時期がずれると保障の切れ目が出ることもあります。世帯の保障が公的制度でどこまで足りているか分からない場合は、保険マンモスの無料相談で公的保障の範囲を確認する →と、給付が止まる期間に足りない部分だけを切り分けられます(育休延長の可否そのものの相談窓口ではありません)。
延長できないと、家計は半年でいくら変わるのか
育児休業給付金は、育休の開始から181日目以降は休業前賃金の50%です。1歳から1歳6か月までの延長が認められないと、この50%が6か月分まるごと消えます。
| 休業前の月収 | 賃金日額 | 1か月分(給付率50%) | 6か月分 |
|---|---|---|---|
| 24万円 | 8,000円 | 120,000円 | 72万円 |
| 30万円 | 10,000円 | 150,000円 | 90万円 |
| 50万円以上 | 16,540円(上限) | 248,100円 | 約149万円 |
賃金日額には上限額があり、2026年8月1日以降は16,540円です。支給日数30日で計算した給付率50%の支給上限額は248,100円、下限額は48,045円になります。
止まるのは給付だけではありません。復職が半年前倒しになると、保育料の支払い開始・通勤費・時短勤務による減給が同時に動きます。延長の可否は、育休期間の話ではなく世帯の年間収支の話です。
募集がない月に当たったときの例外
誕生月によっては、自治体がその月の入所募集を行っていないことがあります。この場合は例外が用意されています。
1歳に達する日の翌日を含む月の入所を対象とした募集がなく、申込みを受け付けられないとされた場合は、1歳に達する日の翌日の2か月後までの日を入所希望日として申し込めば、延長が認められる場合があります。添付するのは、募集がない旨が書かれた市区町村のリーフレット等の写し、入所申込書の写し、選考結果がわかる書類の3点です。
注意したいのは適用範囲です。この例外は1歳6か月に達する日後の延長では認められません。2回目の延長では使えないため、1歳6か月の時点では通常の要件で組み直すことになります。
もう一つ、子が病気や障害で特別な配慮が必要なため、保育体制が整っていないことを理由に市区町村が申込みを受け付けない場合も、理由を申告書に記載し、障害者手帳や医師の診断書を添えれば認められることがあります。
認可外に預けていても、判定には影響しない
ここでいう保育所等とは、認可保育所や認定こども園などを指します。いわゆる無認可保育施設は含まれません。そのため、認可外に一時的に預けながら認可の申込みを続けている状態でも、認可のほうが保留になっていれば「利用できる見込みがない」の要件からは外れません。
ここで効いてくるのは、むしろ費用のほうです。認可外を使う期間は、3歳未満のあいだ利用料が全額自己負担になる世帯が多く、延長が通って給付が続いていても、支出は先に立ち上がります。延長できたかどうかと、支出が増え始めるタイミングは連動しません。
もう一点、申込書に「認可外に預けているので急いでいない」といった趣旨を書くと、速やかな職場復帰の意思がない側に読まれる余地が出ます。事実として書いた一文が、判定では別の意味を持つことになります。
延長の手続きは、1歳と1歳6か月で2回ある
延長は一度通れば1歳6か月まで自動で続く、という仕組みではありません。1歳に達する日後の延長と、1歳6か月に達する日後の延長は、それぞれ別の手続きです。延長事由も、それぞれのタイミングで該当している必要があります。
提出するのは、育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書、市区町村への入所申込書の写し(全ページ)、市区町村が発行する利用できない旨の通知の3点です。申込内容を途中で変更した場合は、変更後の申込書の写しが対象になります。
申込書の写しの内容は、市区町村に照会されることがあります。提出した写しの内容が実際の申込みと違うことが判明した場合は不正受給に当たり、返還に加えて一定額の納付を命じられることがあります。
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よくある質問
Q. 入所保留通知書があれば、育休は延長できますか
2025年4月からは、通知書だけでは足りません。申込日、入所希望日、通園距離、申込書の記載内容、通知書の発行日の5点が要件に入っています。判定はハローワークが行います。
Q. 第一希望の園だけ書いて落ちた場合はどうなりますか
希望園の数そのものに基準はありません。基準になるのは距離で、合理的な理由なく片道30分以上の施設だけを申し込んでいる場合に要件から外れます。
Q. 延長が認められなかったら、育児休業自体も取れなくなりますか
育児休業と育児休業給付金は別の制度です。給付金の延長が認められなくても、勤務先の制度で休業を続けられる場合はあります。ただしその期間は無給になります。
Q. 1歳で延長できたら、1歳6か月からも自動で延びますか
自動では延びません。1歳に達する日後の延長と1歳6か月に達する日後の延長は別の手続きで、延長事由もそれぞれの時点で必要です。
まとめ
- 2025年4月から、延長には申込みの内容そのものが審査対象に入った
- 落ちるのは5か所。申込日/入所希望日/片道30分/申込書の記載/通知書の発行日
- 「入所困難と言われて申し込まなかった」は、延長が認められない
- 募集がない月に当たった場合の例外は、1歳6か月の延長では使えない
- 延長が通らないと、給付率50%の6か月分が消える。金額は72万〜149万円の幅
出典
本記事は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な解説です。延長の可否は個別の事情と自治体の運用によって異なります。実際の判定は勤務先の担当部署またはハローワークが窓口になります。詳しくは免責事項をご覧ください。

